旅行や出張、結婚式やお祝いの席など、普段とは違う環境での外食は、1型糖尿病患者にとって少し緊張する場面でもあります。いつもの食事管理のペースが通用しにくかったり、初めての土地でメニューの内容が分かりにくかったりすることもあるでしょう。今回は、こうした特別な外食シーンで気をつけておきたいポイントを整理してみました。
持ち物の準備は「多めに」が基本
旅行や出張では、普段以上に持ち物の準備を手厚くしておくと安心です。インスリンや血糖測定器、センサーなどは、想定している旅程よりも多めに持っていくことをおすすめします。飛行機の遅延や予定変更で外食のタイミングがずれることもありますし、荷物の紛失や破損といった不測の事態も考えられるためです。
インスリンは温度変化に弱いため、保冷ポーチなどを使って持ち歩き、機内に預け入れる荷物ではなく手荷物として持参するのが基本です。また、低血糖に備えたブドウ糖や補食も、普段より多めにバッグに入れておくと、慣れない環境でも落ち着いて対応しやすくなります。
コース料理でのタイミングの取り方
結婚式やお祝いの席では、コース料理が出てくることが多く、料理が出てくるタイミングが自分でコントロールしにくいという特徴があります。前菜からデザートまで時間がかかることも多いため、インスリンをいつ、どのタイミングで打つかは事前にイメージしておくと安心です。
料理の提供スピードは会場やタイミングによって変わりますので、「メイン料理が出てくるまでに時間がかかりそうだ」と感じたら、無理に予定通りに進めるのではなく、その場の状況に合わせて柔軟に対応することも大切です。コース全体でどのくらいの炭水化物量になりそうか、あらかじめ大まかに見積もっておくと、当日の判断がしやすくなります。具体的な投与のタイミングや調整方法については個人差が大きいため、主治医と事前に相談し、自分に合った対応方法を確認しておくと安心です。
慣れない土地での食事選びの工夫
旅行先や出張先では、いつも利用しているお店がなく、初めて訪れる飲食店を選ぶことも多くなります。土地の名物料理や現地ならではのメニューを楽しみたい気持ちもあると思いますが、可能であれば事前にメニュー内容を調べておくと、当日の見通しが立てやすくなります。
海外旅行の場合は、言語や食文化の違いから、料理の内容や量を把握しづらいこともあります。翻訳アプリなどを活用してメニューの内容を確認したり、量を調整したい場合はスタッフに相談してみるのも一つの方法です。血糖測定器やインスリンポンプなど医療機器を携行する場合は、税関や保安検査での説明に使える診断書や英文の証明書を事前に準備しておくと、通関や搭乗時のやり取りがスムーズになります。
事前の備えチェックリスト
- インスリン・血糖測定器・センサーは通常より多めに持参する
- インスリンは保冷ポーチに入れて手荷物として持ち歩く
- 低血糖時用のブドウ糖や補食を多めに用意する
- 医療機器や薬剤に関する証明書・診断書を携行する(海外の場合は英文があると安心)
- 宿泊先や会場付近の医療機関を事前に確認しておく
- コース料理や会食の大まかな流れを事前に把握しておく
無理をしすぎないことも大切
特別な席では、周りに気を使ってつい食事のペースを合わせてしまったり、血糖測定のタイミングを後回しにしてしまったりすることもあるかもしれません。ですが、体調が最優先です。中座して血糖を確認したり、必要な処置を行ったりすることは決して特別なことではありません。もし当日の体調やその場の状況判断に不安がある場合は、遠慮せずに主治医に事前相談しておくと、心構えができて当日も落ち着いて過ごしやすくなります。旅先や特別な席だからこそ、備えを万全にして、料理そのものや大切な時間を楽しめるようにしていきたいですね。

