1型糖尿病は、膵臓でインスリンを作るβ細胞が壊れてしまい、体がインスリンをほとんど、あるいは全く作れなくなる病気です。糖尿病全体の中では少数派ですが、多くは子どもや若い世代で発症し、診断されたその日から生涯にわたるインスリン治療が始まります。この記事では、1型糖尿病の原因、症状、診断、治療の基本を整理して解説します。
1型糖尿病の原因
1型糖尿病は、自己免疫反応によって膵臓のβ細胞が誤って攻撃され、破壊されることで起こります。なぜ自己免疫反応が起きるのかはまだ完全には分かっていませんが、遺伝的な要因と、ウイルス感染などの環境的な要因が組み合わさって発症すると考えられています。生活習慣(食事や運動不足、肥満など)が主な原因とされる2型糖尿病とは、原因も治療の考え方も異なります。
主な症状
インスリンが不足すると、血液中の糖(血糖)が細胞に取り込まれずに増え続けます。代表的な初期症状は、強い喉の渇き、尿の量や回数が増える、急な体重減少、強い疲労感などです。これらの症状は数週間から数ヶ月という比較的短い期間で急速に現れることが多く、症状が重い場合は糖尿病性ケトアシドーシスという緊急性の高い状態に至ることもあります。強い喉の渇きや急な体重減少に気づいたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
診断の方法
診断には、血糖値やHbA1c(過去1〜2ヶ月の血糖の状態を示す指標)の測定に加え、1型糖尿病に特徴的な自己抗体の検査などが用いられます。これらの検査によって、1型糖尿病か2型糖尿病かを区別することができます。
治療の基本:インスリン療法
1型糖尿病の治療の中心はインスリン療法です。体内でインスリンが作れない、または作れる量が非常に少ないため、注射やインスリンポンプを使って体外からインスリンを補います。それに加えて、日々の血糖値の測定(自己血糖測定や持続血糖モニター〔CGM〕の利用)と、食事内容に応じたインスリン量の調整が治療の基本になります。インスリンポンプの詳しい選び方や使い方は、別記事「インスリンポンプ完全ガイド」でも解説しています。
日常生活で気をつけたいこと
血糖値は食事、運動、ストレス、体調など様々な要因で変動します。炭水化物の量を意識した食事、運動前後の血糖チェック、低血糖に備えた糖分の携帯などが基本的な工夫です。学校や職場では、周囲に病気について理解してもらい、低血糖時にサポートを受けられる関係を作っておくことも助けになります。
よくある誤解
「1型糖尿病は子どもがかかる病気」という誤解がありますが、実際には成人になってから発症する人もいます。また「甘いものを食べたのが原因」という誤解もありますが、1型糖尿病は自己免疫疾患であり、食生活が直接の原因ではありません。適切にインスリンを調整すれば、甘いものを全く食べられないわけでもありません。さらに「治療が大変でつらい」というイメージを持たれがちですが、治療機器の進歩により、日常生活を送りながら血糖管理を続けている人は多くいます。
まとめ
1型糖尿病は生涯の管理が必要な病気ですが、インスリン療法と日々の血糖管理を続けることで、多くの人が学業や仕事、趣味を含めた日常生活を送っています。症状に気づいたら早めに医療機関を受診し、治療方針については必ず主治医に相談してください。

